糖尿病の検査と治療
監修:横浜市立大学 内分泌・糖尿病内科学 教授 寺内 康夫 先生
糖尿病の検査
糖尿病は、1~2ヵ月の血糖値の変動を反映したHbA1c値や空腹時や食後の血糖値などの検査値を組み合わせて診断します。
さまざまな検査によって糖尿病の状態を判定
検査値には「糖尿病です」、「糖尿病が疑われます」といった判定基準が決められています。HbA1c、空腹時血糖値、随時血糖値、75gOGTT値のいずれかが基準値を超えている場合を「糖尿病型」といい、空腹時血糖値、随時血糖値、75gOGTT値のいずれかとHbA1c値の両方が糖尿病型である場合、もしくは口渇(口の渇き)、多飲、多尿、体重減少などの典型的な糖尿病の症状が出たり、糖尿病網膜症がある場合は、1回の検査で「糖尿病」と診断されます。
HbA1cが糖尿病型でなくても、血糖値が糖尿病型の場合は、別の日に再検査をします。そして、そこでも血糖値が糖尿病型であれば糖尿病と診断されます。HbA1cの結果のみの糖尿病型の場合は、血糖検査を含め再検査が必要です。フローチャートを見て下さい。
参考:日本糖尿病学会 編・著: 糖尿病治療ガイド2022-2023, p.26-27, 文光堂 2022
糖尿病の臨床診断のフローチャート
日本糖尿病学会糖尿病診断基準に関する調査検討委員会:糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版),
糖尿病55:494, 2012より一部改変
日本糖尿病学会 編・著: 糖尿病治療ガイド2022-2023, p.26, 文光堂 2022
食後高血糖に注意!
糖尿病がない人でも食後の血糖値は食前よりすこし高くなり、すぐ正常値まで低下します。この食後血糖値の上昇の幅が通常よりも大きく跳ね上がり、なかなか低下しない状態を食後高血糖といいます。食後高血糖がある人は糖尿病になる危険性が高く、また動脈硬化による合併症を起こしやすいことが分かってきています。
ただ、食後高血糖があっても空腹時血糖値には異常を示さない場合があるので、このタイプは健康診断では見つけることができません。健康診断で空腹時血糖値は正常で、HbA1cがやや高いという場合には食後高血糖が隠れている可能性があります。
参考:医療情報科学研究所 編.病気がみえる vol. 3 糖尿病・代謝・内分泌 第5版. メディックメディア, 2019: 34.
その場合はかかりつけ医に相談をしてください。経過観察時の血糖マネジメントの指標は次のようになります。
糖尿病
日本糖尿病学会ホームページ: http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=41
BMI(Body mass index)
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
これが「25」を超えると、肥満による病気が合併しやすいとされています。